2007年11月18日日曜日

Ingham county medical care facility 見学

Wednesday 11/14  
今日は、geriatristのDr.Raza Haqueにくっついてnursing homeであるInghum county medical care facility (http://www.ingham.org/mc/mcf.htm)の見学をした。初めてのshadowingでもあり、久しぶりに実際に患者さんとコミュニケーションをとったので、とても興奮した見学となった。

<場所と概要>
場所は、MSUの南東にある6マイル程度の距離のところである。写真を持っていくのを忘れたのが何よりの失敗であったが、とにかく大変きれいで大きな施設であった。中にはかなり大きなサークルがあり、そこには直物が栽培されていてまるで植物園のような空間であった。その植物の間を縫って患者さんが車椅子を押されてその植物をみている光景はいいものであった。
ウイングはかなりたくさんに分かれており、総患者数は160人程度だそうだ。その中には認知症患者ユニットもあった20名程度はいっておられと思う。部屋はプライベートルームから2-4人程度の相部屋まであったと思う。ここのメリットのひとつにリハビリ施設が併設していて、病院から退院したがまだ在宅復帰まで日がかかりそうな人や、廃用がある人などを受け入れているようだ。DR.Raza Haqueは老年医学専門だが、自身リハビリも施行するそうだ。

<患者構成>
私はあらかじめこの施設に来る前にDr.Haqueから依頼を受け、日本の老人保健施設と特別養護老人施設の入所者のベースラインについての調査資料を厚労省のホームページからコピーして持参した。そして、Dr.Haqueはこのfacilityの半月ごとと各月毎の施設患者の分析したリストを持っていて二人で比較検討した。ただし、この施設のリストはベースラインの評価ではなく、入所中に起こったイベントを分析したものであった。このリストを分析していてわかったことは、この患者のうち、9以上の処方がある人が国の平均に比べて随分高いこと。他にも認知症を発症する患者数が20%いることや、転倒患者が平均データよりも多いことが指摘できた。Dr.Haqueによればこれは研究テーマに値する事実で、かれの推測では、余分また過剰な投薬により患者の意識・精神レベルが傷害されて、転倒や認知症の発症率の上昇に寄与しているのではないかということである。彼は今後の研究テーマとしてこういったことに着目しているようであった。

<患者診察1>
午前はDr.Razaにくっついて、診療見学をした。その日は2人の入院があるはずだったのが、二人とも午後入院となり、午前は比較的余裕があったようであった。たまたま、昨日からproductive coughがでだした患者さんがいて、その人の診察依頼がナースからあり、それを見学した。まず感じたのはやはり基本にきっちりプライバシーを守って診察しているということ。きっちり見学者の僕がいることを説明した上で、診察時はちゃんとカーテンを閉めていた。その患者さんは熱はなかったが右胸部にcrackleを認め、肺炎または気管支炎が疑われ、採血とレントゲンをorderし、抗生剤の内服投与が開始された。それは全て患者さんに説明がなされ、治療期間なども説明されていた。Dr.Razaは、診察所見から肺炎/気管支炎がわかるので検査は必要ないのだが、保険会社に請求する治療費の保証として検査結果が必要なのだ、と言っていた。これがアメリカの現状なのだ。いくら、技術と知識を蓄えてもこの国の現状では医療費を抑制するのは至難の業のようである。

<患者診察2>
午後から入院した患者とりをDr.Razaにくっついて見学した。患者は80歳代の男性。転倒後の慢性硬膜下血腫があって、それの手術後で、左半身の麻痺があるのともともと右膝の関節炎で今はもう自力で動けないとのこと。診察時は、全身の診察はもちろんだが、四肢のROMや筋力をみていた。彼いわく、老年科医は痛み、食事、排便、視力、運動能力などの基本的なことを特にしっかりアセスメントするのだと強調していた。面白かった質問に、脈診で、ヘモグロビンの値を当てることができるか?と聞かれたことである。血圧はなんとなく脈診でわかるが、ヘモグロビン値を聞かれたのは初めてでびっくりした。彼曰く、脈にかかるプレッシャーでわかるらしい。ほんまかいな??? あとは、胸部の静脈の拡張が少ないので、たぶんこの患者はタバコを吸っていないだろう、と推測していた。タバコをすうと、肺動脈圧があがって胸部の静脈が怒張するらしい。これも初めて聞いた身体所見である。とにかく、彼の診察は丁寧に、ちゃんと患者さんに敬意を表した対応をしていた。診察内容は日本の内科医+リハビリ医といったところであろうか?

<precepting>
午後の2時15分から、MSU関連のレジデントのうち、老年科にローテーションしているレジデントが回診にくるというので同行させていただいた。参加者はDr.Razaを入れてMSUの専門医3人とレジデント4人とフェロー一人。まずは、カンファレンスルームで、担当患者の報告をしてから3チームに分かれて回診をした。私のチームは、Dr.RazaとSparrowで3年目のチーフレジデントが一緒だった。彼の患者はちょうど朝に診察した患者さんともう一人の90歳の患者さんであった。2人目の患者さんは全身状態は落ち着いているが、咳がでるとのことであった。どういう時間帯や、どういう姿勢のときに咳がでるのか、を質問し、誤嚥なのか、胃食道逆流なのか、post nasal dripなのかという基本的なところをレジデントに質問していた。そして、ベッドサイドでは、食事はちゃんととれているか、夜は寝れているか、などの質問の他に口腔内を入念にチェックして、入れ歯がちゃんと合っているか、入れ歯をはずしたときに食物残渣が口腔内に残っていないか?、などをみていた。指導されたレジデントは普段Razaのような指導を受けないのかとても感謝していたようだった。

<抄読会>
回診が終わった後、指導医とフェローたちで行われた論文の抄読会に参加した。
テーマは、アメリカの老年医学雑誌から、普段出されているnursing homeに入所中の患者の処方内容を医師や薬剤師がチェックしたところ、薬の数を減らすことに成功した、といった内容だったと思う。この抄読会の担当はDr.Razaだったが、明らかに、このfacility入所の患者の薬の数が多いことを意識してとりだした文献であった。
このようなしょう読会は場所をMSUに変えたりはするものの毎週もたれるとの事であった。

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