2007年12月24日月曜日

Kenny G Concert



Warton Centerの会場の写真。実際のKennyの演奏は写真が禁じられていたため、撮れませんでした。残念!!



Wednesday 12/19/2007
http://www.whartoncenter.com/performances/productionDetails.aspx?productionID=611&genreID=67
今日は、19:30からWarton Centerで行われたKenny Gのコンサートを見に行った。
ソプラノサックスと普通のサックスを使い分けて、さすがの美しい音色の演奏が聞けて基本的には満足であたった。また、コンサート自体も大変よくorganizeされており、各演奏者のソロパフォーマンスもさることながら、照明のパフォーマンスにもかなり力を入れていたし、スライドを用いて、いろんな角度からの撮影を映し出していたため、まるでプロモーションビデオをみているようだった。セットの入れ換えのときには、レイチャールズの'What a wonderful world'をバックスクリーニングに映し出し、それとコラボしたKennyの演奏などもあった。
個人的には普通のサックスの少しひしゃげた音色の方が好きで、またこれがジャズの演奏のときはぴったりだったのが印象的だった。それにしても、彼の奏でる音色は本当にサックスの音色を越えた美しさをもっていて感激した。また、クリスマスソングにはやはりサックスがよく合っていて美しかった。


<残念だったこと>
演奏は確かに素晴らしかったが、残念なこともあった。
ひとつは、演奏が、プラグを用いて音を増幅していた演奏だったこと。そのおかげで、ステージの外にいても音が聞こえるため、さまざまな演出(サックスの音だけが聞こえてどこで演奏しているのか探しているうちに、突然客席から現れる)を助ける効果もあったわけだが、音がまるで館内に流れる録音テープと違わないような気がして、少し興ざめした。僕としては生演奏の音のよさを味わいたかったものである。
もうひとつは、Kennyの演奏のパフォーマンスが少し多すぎた。うまいのはわかっているので、そんな芸当(くどいはや引きや、テクニックのみを見せる余分なソロ)よりも純粋に演奏の素晴らしさを味わうだけで満足だったのに。


<驚いたこと>ステージには、ドラムセットが二つ用意されており、ひとつはパーカッション専用であった。パーカッションを演奏する黒人が大変いい味をだしており、体全体と器具を存分に使った演奏は大変印象的であった。
彼は大変芸達者で、コンサートの前半ではタンバリンを用いたパフォーマンスで客を引きこむ役割もしており、僕はあまり好きではなかったが、客は大変盛り上がっていて効果的であったと思われる。
Kennyが口でサックスを吹きながら鼻が息をするという芸当には驚いた。

Department Party













Saturday 12/15/2007
Family practiceの医局のパーティーが、Aspen Lakes Club Houseで行われたので、参加した。
秘書さんも含めて家族そろって参加していたが、医局のアットホームな雰囲気がよくでており、和やかな会となった。教授のBillがバンジョー、Stevenがギターを演奏して、ちょっとしたクリスマスソングを提供してくれた。Sudan出身の男性が2人参加していたが、そのうちの一人のDavidは、Billがホストしているとのこと。彼の優しく包容力のあるいい一面を具間みることができた。

2007年12月15日土曜日

Jackson医師会パーティー

←おでぶのボーカル(中央)が女装して歌っている








←隣がDR.Raza







←妻とRazaの奥さんと一緒に








ダンス風景








Fraiday 12/14/2007
本日はMSUのgeriatricianであるDr.Raza Haqueの招待を受けて、Jacson County Medical Society(Jackson市の医師会)主催のディナーパーティーに妻とともに参加してきた。
紹介状にはbrack tie(タキシードに蝶ネクタイのこと)着用とあり、こちらではじめてのformalなpartyとのことでドキドキしながらの参加であった。
 Jacksonは、East Lansingの南約30マイルのところにある街であるが、今回も道に迷ってしまい、人に道を聞きながら会場であるCounty Club of Jacksonに到着したときは予定よりも30分以上遅れてしまった。しかし、遅れたのが幸いしてちょうどメインのディナーが始まるころの到着となり、すぐにご飯にありつくことができた。
 会場にはJackson市の医師が多数集まっており、みんなドレスアップして、夫婦のみで参加ていた。Dr.Razaにたくさんの医師を紹介してもらった。日本と同様に、医師会の集会となると開業しているドクターがほとんどのようでった。たまたま僕たちの席に話をしにきてくれたFamily doctorの一人に、僕のMSUにきた目的を説明すると、「自分の診療を見学に来てくれてもいい」と言ってくれたため、連絡先をいただくことができたのはよい収穫であった。
 会は、アメリカ、インド、イタリア料理やワインもあり、そのほかにもバンドの演奏あり、ダンスありで大変もりあがり、楽しい会であった。
 宴会は夜遅くまで繰り広げられ、お暇したのは11時半ころであったが、場内にはまだたくさんの人が残っておしゃべりをしていた。

Sparrow OB/GYN Women's Center

Friday 12/14/2007
本日は、Dr.Andreas Kuhnのshadowingで、Sparrow OB/GYN Women's Center
を訪れた。
Medical Arts Buildingの一階の一角にあるそのオフィスは、その名の通り、産婦人科外来専門オフィスで、家庭医とSparrow hospitalの産婦人科医師が協働して診療にあたっている。家庭医は、火曜日の午前と金曜日の午後が担当単位で、その他は産婦人科医による診察になるとのこと。
家庭医の診療単位のときは、家庭医レジデントの研修施設になっているため、基本の診察は全てレジデントによって行われ、そのattending doctor(プリセプター)として、MSUからDr.Kuhnが派遣されているとのこと。僕が話したレジデントの説明によると家庭医はprenatalケアのみに携わっており、患者さんは基本的には産科医、家庭医のどちらでもかかることができるとのこと。家庭医は当然リスクが高いお産の場合は産科医に紹介するが、それでもリスクがない患者をみることで産科医はとても助かっているはずだといっていた。患者さんの中では、あまり家庭医による診察と産科医による診察の区別はないような感じであった。
 僕が訪問した日はレジデントが4人いて、卒前医学生が1人という布陣であった。レジデント一人が患者を3、4人程度みていた。僕は診察のタイミングにあわせて何人かのレジデントの診療を見学をさせてもらった。医療保険がない妊娠30週台のお母さんのケースがあり、お金の問題からエコーを拒否されていた。専属のsocial workerが対応していた。
 診察はClinical Centerでの家庭医の妊婦検診と一緒で、子宮サイズを計り、胎児心音をドップラーで確認する。35週くらいの人にはルーチンでGBS(グループB溶連菌)の検査をしていた。
家庭医は全くリスクがない人だけをみているのかと思っていたが、実際には、羊水過多の人や、血圧の高い肥満女性なども見ており、むしろ全くリスクがない人の方が少ないのではないかという印象を持った。
 患者さんの許可をいただいて、35週の患者さんにLeopold's maneuverと胎児心拍のドップラーをさせていただくことができた。
 Dr.kuhnは、大変フレンドリーで明るいドイツ出身の家庭医で、ドイツでは日本と同じく家庭医がお産を扱うことがないとのこと。将来は、友人や親兄弟がいるドイツに戻ろうと思っているが、自分にとってお産は大変刺激的で、日々のルーチンワークの診療でたまった疲れをリフレッシュしてくれるのでprenatalケアはやめたくない、と言っていた。彼は、このクリニックには家庭医の担当のときはいつでも見に来てくれてもいいとも言ってくれ、また、オンコールのときは患者さんの許可を得ることができればお産のときに呼んでくれることも約束してくれた。これで、家庭医によるお産を見学できる道が開けたので大変嬉しく思う。

Shadowing(Clinical Center)

11月の末から12月の中旬にかけてMSUのClincal Centerで、以下のドクターのShadowingをした。

11/26 Cathleen Abbott
-妊婦検診4人くらいあり。MSUの中には診療でprenatalケアをしているドクターが4人程度いるそうだが、その中でも一番患者数が多いとのこと。その他は整形疾患(frozen shoulder)、2ヶ月検診の子供のワクチン、Aquatherapyの紹介、かなり重症のうつ疾患2名などあり。
-EMR(Electrical Medical Record)への記入は基本的には診察後

11/28 Vince WinklerPrins
-受診ではない子供にもちゃんと声をかけて配慮していた。説明はかなり丁寧。
-患者さんの中に皮膚硬化症の亜型というsteroid dependantのかなりの重症患者がいて、Vinceの説明によると「あの患者は家庭医が皮膚疾患に対して何もしてあげられないのは分かったうえで診察にくる。日ごろのストレスを聞いてくれる医師がいるだけで、彼女は満足しているようだ。家庭医にはそういう役もあると思っている」とのことであった。
-EMRへの記入は基本的には診察後

11/29 Hend Ashary
-EMRへの記入は基本的には診察後

11/30 Braian Rayala
-年齢が近いのもあってか一番好感の持てた医師。説明も丁寧。
-14歳のうつの患者を家族療法家に紹介していた。
-フィリピン出身のドクターで、日本のシステムの現状を聞いてフィリピンのシステムとの違いを説明してくれた。
-EMRへの記入は基本的には診察後

12/10 David Walsworth
-診察しながらEMR記入。
-Reminder機能をはじめ、電子カルテの機能を一番使いこなしていた。たとえば、子供のワクチンや、大腸がん検査、PSE検査、コレステロール値から算出する10-year colonary riskの説明など。

12/11 William Wadland
-診察しながらEMR記入。
-ベンゾジアゼピン系の薬はrifillが早くなくなる人の場合は要注意ということを聞かされた。
-travel medicineの患者はhealth centerの中のtravel medicineを紹介していた。

<その他所感、気づいた点>
-個室の診察室に入っている患者さんのところにドアをノックして入るスタイル。診察室には診察台があり、足台が診察台からニョキッと出るようになっていて、婦人科の診察もできるようになっている。電子カルテが一台備わっていて、処方箋などをだすときや、lab検査の結果説明をするときなどに用いている。ドクターによっては、診察中は一切カルテ記載はしないで、しっかり患者の話を聞くことに重点を置いている人が多い。
-大体、1単位当たり1日7人~10人くらいの患者数。一人15分から30分程度の診察時間
-落ち着いている慢性疾患の患者であれば3~6ヶ月ごとのフォロー。その間の処方はrefill(薬がきれても、決まった期間は診察なしで薬がもらえるようになっている処方箋)でまかなわれる。
-2割り程度の患者はうつあり。印象としては、日本よりもやや多い印象。大学のクリニックというバイアスはあるかもしれない。
-日本より、副作用を訴えたりアレルギーを訴える患者が少し多い印象。神経性の疾患が多いのとも関連するか?
-家族歴はかなりこまめにチェックしていたのが印象的であった。1回のvisit毎にたいてい確認していた。
-患者層は心疾患、うつ、偏頭痛(以外に多い)、筋骨格系、甲状腺内分泌、皮膚疾患、成人病疾患など。患者層は幅広く、日本よりもやや精神疾患が多い印象意外は、患者層にはそれほど差はないと思われる。やはり慢性疾患が多く、感染症などの急性疾患は少ない。 -Health Mentenanceは限られた時間の範囲内で比較的しっかり指導している印象あり。teenagerの指導は患者数もあまりなくあまりみる機会がなかった。シートベルトやヘルメット、避妊や酒、ドラックなどのカウンセリングの機会はなし。変わりに、PSE検査の利害説明や、DMのfoot touchの検査、運動のすすめやコレステロールの管理の件、禁煙指導などはよくされていた。婦人科の乳がん検診とpap smearは普通の診療の中に組み込まれていた。コレステロールの管理は日本よりもかなり徹底して行われている印象で、一応life styleの変化を促す一方で、スタチン系の薬はバンバン投入されている印象だった。
-身体診察は、ルーチンで、耳、鼻、のど、甲状腺、頚部を見ていた。たまに時間が押しているときは省かれるが、こっちでもお作法として定着しているのか、基本的には全患者診察していた。
-基本的に全てのドクターは日本と同じでかなり忙しい。特に臨床、教育、研究をこなしているドクターは日本と同じで相当忙しい様子。1単位4時間の外来は10人程度でも毎回ほぼ時間枠を超えることが多い。みんな、1人一人の患者がけっこう複雑な疾患を持っているうえに、フォロー期間が長いのもあって、訴えを聞くだけで一人ひとりかなり時間がかかる印象。 

2007年11月24日土曜日

Travese City

11/19/2008~11/21/2008
<Traverse City>
http://www.visittraversecity.com/
11/19からTraverse Cityにあるレジデンシー見学をするために、Traverse CityのMunson family Practice Centerを訪れた。Travese CityはEast Lansingから北西184マイルのところにある、ミシガン湖に面した小さい街である。見学の予定が11時半からであったため、朝7時過ぎにEast Lansingを出発し、ホテルSeashore Resortに到着したのが10時半であった。
訪れた季節柄、人はそれほど多くなかったが、夏場は、観光地としてかなりの人でにぎわうようで、ダウンタウン自体の規模は小さいものの、おしゃれな店や雰囲気のいいレストランが並んでいた。
夕食は2日とも、少しおしゃれなレストランで外食した。初日は、イタリアン、2日目はアメリカ料理であったが、どちらも料理の割りに値段が大変リーズナブルでおいしかったため満足できるものであった。
Travese City北西部には、Sleeping Bear Duneという国定湖岸にもなっている砂丘があり、色の美しいミシガン湖とマッチして美しい景観を呈していた。ワイナリーを始め、果物畑が豊富で、そういう農作物地帯としても有名なようである。自然が豊富で、夏場や秋の紅葉の季節はたいそうきれいなところだと思う。









<The Family Medicine Residency at Munson Medical Center>
http://www.munsonhealthcare.org/locations/mmc/mmc.php
家庭医療科レジデントが各学年5人で、Facultyが6人いるとのこと。DOも受け入れている。電子カルテは近々導入予定とのことだが、今のところ紙カルテを使用していた。
7つの病院、多数のクリニック、4つのホームヘルスケアセンターなどからなる北部ミシガンにあるネットワークのなかの1施設がMunson Medical Centerであり、病院とクリニック、ナーシングホーム、ホスピスを持つ複合医療施設となっていた。ヘリポートも完備している。ここの病院はNICUがなく、ほかにもより高度の医療提供が必要なときは、Grand Lapidsまで運ぶそうである。
美しい景観のなかでゆったりすごせる雰囲気のあるナーシングホームや、ホスピスは、まさに治療にふさわしい立地であると思われた。
ちなみに、Munson Medical Centerは、米国トップ100病院の1つに入っているそうで、いただいたレジデンシーのハンドアウトにもネットのサイトにも誇らしげに宣伝されていた。

<Munson Family Practice Center>




到着後、Dr.Websterが施設紹介をしてくれて、そのあといきなり昼食付きの会議に参加した。会議には3年目のチーフレジデント2人と指導医が全員、秘書さんや、ナースも参加していた。ここでは、初日と2日目の午後にプリセプティングの風景を見学した。
 見学した日は、4人の研修医が外来をするというので、2人の指導医がついていた。2人の研修医に対し、1人のプリセプをつけるという、この教育に対する理解の深さがアメリカの教育が進んでいるという所以なのであろうし、それでも人材的にも経済的に成り立つという構造はどのように日本とは違っているのかは興味のあるところである。しかし、実際は指導医の一人はほぼ部屋にいなかったので、実質メインが決まっていてその人が中心にプリセプしているようだった。プリセプは、常勤以外にも、周囲で開業している医師が自分のトレーニングがてらに週に半日だけとかの頻度でプリセプに来ているとの事であり、見学した2日とも、メインのプリセプは外の開業医であった。プリセプのやり方も個人個人で変わるようで、できるだけレジデントと一緒に診察室で患者さんを見る人と、プリセプ部屋でのコンサルトで終わる人がいたのが面白かった。特に決まったやり方はないようである。
コンサルトは義務ではないようで、ちょっとアドバイスが欲しかったり、一緒に見て欲しいときに限りコンサルトしているようであった。しかし、これは、学年にもよるのかもしれない。
レジデントの診察は、一般的なレジデンシーでは、1年目はハーフでいバックを週1日、2年目はハーフデイバックを週3日、3年目はそれ以上、といったシステムをとっているところが多いらしいが、ここは、変則的で、1年目は1時間診察を週5回、2年目は2時間診察を週5回、3年目は3時間診察を、、というシステムをとっているとのことであった。

興味深かったことのひとつとして、プリセプルームに、大量の薬のサンプルロッカーがあり、何に使うのかを問うと、薬代が払えない人のためにサンプルを渡したり、あるいは薬が変わるときに一度試してみるといった目的でサンプルを用いるそうだが、実質的には前者の需要が高いと思われる。
あと、ここの患者は外傷などの急患もいたので、どういう診療システムになっているのかを聞くと、各医師は診療時間内に予約患者と急患用の枠を持っていて、急患はその枠に入るのだそうだ。大学のクリニックのイメージだと、予約するのに2週間待ちとかで急性期疾患を持った患者にとっては非常に非現実的な印象があったので、ここのようなシステムがあるのは意外だったし、ここの医師もここはいいシステムだと自画自賛していた。

<Munson Medical Center>
2日目の朝7時のモーニングレポートから参加した。昨日の患者の申し送りと今日のラウンド予定患者の状況報告のことである。病棟では、2人のレジデントの回診に見学者の僕と五十嵐先生がそれぞれくっついての見学となった。その日は、家庭医療科の入院が10人足らずで、それぞれ3-4人ずつ受け持っていたようだった。普段も6人から14人程度が家庭医療科の入院患者だそうで、全入院患者の5%程度と思われるが、専門家と一緒に受け持つことも多く、明確に何人が家庭医療科の患者とは言いにくいようである。
カルテはクリニックと同様紙カルテであるが、orderingや、諸々のdata、画像などは、北部ミシガンで共通の電子システムソフトを用いているとの事であった。ソフトは薬の投与が確実に行われたかどうかがほぼリアルタイムで見ることができたり、患者さんのアレルギー歴なども一目で見られるよう、よく開発されていて、大変便利なソフトであった。さらに、ネットからアクセスできるそうで、家にいながらにしてデータをみたりもできるらしい。

ここの入院患者さんをみて、思ったのは、やはり、アメリカの入院患者は基本的にObesityをベースに生活習慣病を持った人が多いので、感染症にしても、その他の疾患で入院したにせよ、管理が相当難しいだろうということ。実際、採決や点滴ルートの確保も日本の患者に比べるとさらに大変である。それどころか、あまり太っていると血圧をとるのも難しいこともあるようである。疾患の複雑性から当然専門家によるアドバイスを適切にもらいながらの診療になり、それをうまく統合するのが家庭医の役目のように思われた。あと、産科に関しては、保険が家庭医による診察しかカバーしていないケースもあるようで、ニーズは高いと思われた。
僕がついたレジデントの回診は、日本での風景とそう変わったものではなかったが、患者の訴えを良く聴いて、丁寧に説明していた。憩室炎で入院し、その日に退院予定の患者が、感謝祭前で何を食べたらいけないかを質問していたが、Uptodateのコピーを渡していた。
指導医の回診も基本的なことを中心にレジデントに適切に指示してとは感じた。態度はやはり大変丁寧で紳士的であった。

昼食は病院で毎週行っている勉強会に参加しながらいただくこととなった。
テーマは頚部腫瘍の鑑別についてであった。ところどころジョークを交えながら若い女性が発表していて、耳鼻科かなにかの医師かと思っていたら、後に家庭医のレジデントであったことが判明した。どうして、この領域の発表を家庭医が他の科の医師もいる前でしたのかはよくわからない。

2007年11月23日金曜日

Detroit旅行












Saturday 10/27/2007
妻と一緒の初めてといってもいいだろう旅行がDetroit観光となった。
前日まで妻の日本の友人が泊まりに来ていたので、彼女を朝一番でDetroitの空港へ送り届け、その後そのまま市内観光することとなった。Detroitには朝の8時ころに到着。しかし、街はまったく人通りがなく、見る人といえばすさんだ格好をした物乞いの人ばかり。映画の一場面のような危険な雰囲気が漂っており、不気味な感じながらとりあえず車で町並みを観光することとした。

<Detroit Down Town>
 まず、グリークタウンに向かった。24時間営業のカジノの前を通ったときだけは確かに路上駐車がたくさんあり、警官が何人も駐留していた。ガイドブックに書いてある通り、ここだけは常に人が集まるところであるというのにうなずけたが、それ以外はびっくりするほどひっそりした街であった。
 次に、ガイドブックに載っている街はずれのEastern Marcketに行こうとしたが、いつのまにかハイウエイに乗ってしまい、目的地から外れてしまったので、いったん仕切りなおしのためマクドナルドで朝食をとることにした。このとき気付いたのだが、従業員も含め客も黒人ばかりであった。ついでにこちらのマクドナルドをはじめて食べたが、日本と比べても超脂っこくて何十にも重ねた紙が油でべたべたになるくらいであった。妻はビスケットを注文していたのだが、ほとんど食べられなかった。

<Charles H.Wright of African American History>
http://www.maah-detroit.org/ おなかを満たした後は、デトロイト美術館The Detroit Institute of Arts(DIA)に向かった。モネやゴッホ、ルノアールといった印象派の作品とエジプト、ローマの古代美術は特に充実しているとのことで、大変期待して訪れたのだが、不運なことに改築工事中で休館となっていた。がっくりきたが、仕方ないので、近接したところにあるアフリカ系アメリカ人歴史博物館Charles H.Wright Museum of African American Historyに入ることにした。
 アフリカ系アメリカ人が奴隷としてアフリカからアメリカに連れてこられ、ひどい迫害を受けた後、人間としての権利を勝ちとるまでの歴史がリアルな映像やジオラマなどで披露されていった。想像以上にいい施設だった。このとき、ここデトロイトで黒人が多い中、こういう博物館が設置されている理由が分かった気がした。

<Renaissance Center> 
その後、デトロイトのシンボルといわれるRenaissance Centerを訪れた。向かいがデトロイト川をはさんでカナダ領のWindsorという景色の良いところに立地し、どこからみても見つけられる摩天楼が特徴の建物であった。地階にあるGM Wordの車のコレクションを期待して入ったのだが、ここも的外れとなった。その日のワイン会社のイベントか何かでその展示場には入ることができなかったのである。それ以外のショップも特に見栄えするほどのものはなく、そのままそこをおさらばしてフォード地区へ行くことになった。このRenaissance Centerのひとつの観光目玉であるTour Ren Cenに参加できなかったため、地上72階のCoach Insigniaは見れなかったが、たぶんそれ以外に見るべきところはなかったと思われるので、時間短縮意味でも参加しなくても良かったと思う。











<Henrry Ford Estate>
http://www.henryfordestate.org/index.html 街中では詳しい地図を入手することができなかったので、ガイドブックの粗い地図を頼りにだいたいの見当をつけて向かったのだが、予想以上に苦戦した。なんとかmilestoneである、Ford Rd.を見つけてまずはヘンリー・フォード邸Henrry Ford Estateに向かった。しかし、地図の不備のために入り口を見つけるのに相当苦心した末、なんとか2時半ころにミシガン大学の所有地に隣接したヘンリーフォード邸にたどり着いた。
ガイドツアーには全部で1時間半も要するいうので、時間節約のため、最初はこのツアーに参加しないつもりだったが、後にツアーに参加しないと建物の中を見学できないことになっているとの事が判明。仕方なく計画を変更して、15時からのツアーに参加した。
 参加人数は約10人ほど。かなり詳しい説明で途中のお土産やさん見学時間も含めてきっちり1時間半かかったが、それでも見ていない部屋があったほど大きなお屋敷だった。実際、部屋数は半端じゃないほど多く、たとえば、3人の子供の部屋の寝室も2部屋ずつあるし、応接室らしきところもこんなにあってどうすんの?と思わずいいたくなるほどであった。
建物自体は、派手な装飾に彩られているというよりは、むしろがっちりした建築だった。もちろん、ダンスを踊ったりするところ、ポーチ、今はレストランになっているホール寝室など素敵な部屋もたくさんあった。そして、やはり当時としては、最先端でしかも贅沢なかっこいい車のコレクションの数々や、それの工場の設備には満足した。しかし、全体としてあまり華やかな印象を受けなかったのは、いい家具の大半がニューヨークの博物館に展示されているらしくて、残された家具はそれほど魅力的でなかったのが一因かもしれない。















<デトロイト観光を終えて>
 妻の友人を送るついでに観光したデトロイトであったが、フォード邸をはじめとしたフォード地区を見るのは一定の価値があるとは思えたが、美術館めぐりといった目的をもって行くのでない限り、特に市内観光についてはあまりお勧めはできないというのが正直な印象であった。

2007年11月18日日曜日

the 23th Silver Bell










Saturday 11/16/2007
http://www.lansingarts.org/silverbells.htm

18:00ころから21時にかけてLansingのダウンタウンのState Capitalを中心にparadeがあるという情報を妻が通っている英語学校から入手してきたので妻と一緒に見に行ってきた。イルミネーションを装飾した車の数々やマーチングバンドのマーチなど1時間半程度かけて繰り広げられ、最後にはState Capitalの前の大きな樅ノ木(State of Michigan Official Christmas Tree)に明かりが点灯され、花火が上がるというイベントであった。去年は10万人が集まったというからこの街の中ではかなり大きなイベントのようで、会場はお祭り騒ぎでけっこう楽しかった。特に花火のあがったCapitalをバックに見るクリスマスツリーは本当にきれいだった。驚いたのは、この日は会場周辺の駐車場は全てただになり、バスなどの交通手段も大半は無料になるとのこと。市もこのイベントに一役買っているのもここの国民性か?ただし、おかげで、帰りは車の大渋滞になるので注意が必要。

Family Medicine in Japan(スライド発表)










Thursday 11/15
今日は、数週間かけて準備をしてきた、Family Medicine in Japanの発表http://www.iew.msu.edu/intledweek-details.php?ID=3188であった。
これは、 U.S. Department of Stateとthe U.S. Department of Educationが協賛となって、アメリカ人のグローバルな環境に備えるのと諸外国の研究や学び、経験の交換を通して将来のリーダーを魅了するために企画されたプログラムである International Education Week の中の1プログラムとして企画されたものである。Family medicine in Japanは、もともと私のいるdirectorが依頼された講演なのだが、プログラムに実際に参加している私にも発表の機会を与えてくださったので、引き受けたために私の発表が実現した。私のdirectorは、彼女の発表の中で日本人が長生きで、universal medical insuranceがある日本の医療制度を大変評価していて、この視点からアメリカの医療制度に疑問を投げかけているといった内容と、あとは今MSUで進行中のこの'The Methods in Family Medicine Educating Training Program(私のプログラムの正式名称)'の目的やできるまでの背景などについて30分くらいかけて紹介していた。その発表の後、私は、日本の開業医に代表される一般医が日本のプライマリケアを支えてきたこと。しかし、時代は変わり、そういった開業医は高齢化し、医療費の高騰、高齢化といった問題を背景として、新たなプライマリケアを専門とした医者のニードが高まっていること、それを受けて、家庭医療学会がついに卒後のレジデンシープログラムを正式に認め、それにより現在までで67のレジデンシープログラムが誕生したこと、そして自分のこれからの使命について15分程度で説明したつもりである。
発表の後、20分くらいかけて質問を受けたが、おもに聞かれたことは、日本の医師は訴訟対策でどれくらい金をかけているのか、日本人の卒前教育にかかる費用、家庭医療後期研修プログラムは国から助成金は出ているのか、universal medical insuranceというが、実際に金は個人にどのくらいかかっていて、それは平等なのか?などが出た。やはり、アメリカの医療費の高さを物語っていてかお金にからむ質問が圧倒的に多く、答えられないものもかなりあったところは、もう一人のscholarの先生やdirectorに助けていただいての回答となった。
場所はClinical Centerに隣接するRadiologyの講堂を使って12時から1時間程度で開催された。家庭医療科の先生や他の科の先生、そして学生が参加していてだいたい総勢20名くらいの参加ではなかったかと思う。英語で発表し、そして質問を受け、英語で説明するといった作業は、英語がつたない私にとっては非常にストレスフルで、チャレンジングな内容であったが、満足まではいかないが、なんとか終えることができて安堵している。

Halloween Party















10/31/2007

今日はプログラムのdirectorであるRebeccaがHalloween partyに招待してくれたので、それに参加した。


5時45分ころにRebeccaの家に訪れて、部屋に通してもらった。大変、シンプルだがいい家だった。なんでも築で言えば100年くらいになるそうで、キッチンなんかは改装したらしい。それほど古い家には見えないのだが、こちらは建築技術なんかが時代とともに変わるとかそういう影響は受けないのだろうか?それとも時代と主に改装を繰り返して、今の生活にマッチした内装にしていくのだろうか?内装もさることながら、家具や置いているものもとってもセンスのいいものが多く、見ていて楽しめた。Rebeccaの旦那さんの趣味で陶器を作られていて、それもマッチしていた。

食事はピザとHalloweenの伝統的な食べ物であるアップルキャラメル、パンプキンの種を準備してくれていた。

"Tric or Treat"は8時過ぎから始まった。民家が密集しているところにRebeccaは住んでいたが、その地区のほとんどがHalloweenに参加していると思われ、そこに子供もたくさんいるようで、それぞれおそらく15件くらいは回ってお菓子をもらっていたと思う。どこの家もHalloweenに参加しているところは門前にろうそくのともったパンプキンを用意したり、ドアに飾り物をしたりしていて、雰囲気がいかにもお祭りという感じでよかった。
それにしても、めいめいの衣装を着て‘Tric or Treat?‘といって子供たちが近所を回ってお菓子をもらうのはなんともかわいらしくて見ていてもほほえましい光景である。

Rebeccaの家族もとても温かくてよかった。旦那さんのKevinも優しそうだったし、 3歳のGraceは熊のぬいぐるみを着て興奮している様子がほんとにかわいかった。妻が、Graceに天道虫のマフラーをプレゼントしたが、それを着けてはしゃいでいた様子から、それを気に入ってくれたようで良かった。ちなみに妻もRebeccaからキャンディーの入ったパンプキンボックスをもらっていた。Kevinのお母さんもそこに参加されていた。8時過ぎにRebeccaのご両親もこられたがみんな温かい雰囲気で大変いい家族だと思った。みなさんEast Lansingに住まれていてすぐ集まれるのが幸せだとおっしゃってたがまさにそうだと感じた。Rebeccaがかなりわれわれに気をつかってくれたり、優しかったりするのもこういう家庭環境でそだったことに起因するのかもしれない。

8時50分ころにお暇したが、大変いい夜であった。

Faculty Retreat 











Wendsday 11/7
今日はKellog centerで行われたFaculty Retreatに参加した。
田村先生のブログにも紹介されていたもので、MSU関連のレジデンシーのFacultyや事務方の人が集まって行われる年に2回のofficialの会合である。http://familypracticemsujapanesescholars.blogspot.com/2005_09_01_archive.html
今年はfacilitatorとして外部講師を招いてのRetreatとなった。
個々のスピーチの内容までは聞き取れないことが多かったが、全体としては、自分の今の関心ごとや普段の生活で感じる齟齬をこういう機会にさらけ出してみながお互いを理解し、また方向性を再度定めなおして大きな組織をまとめていこう、という目的で行われる大変健全な素晴らしい企画だと思った。
また後に述べるが、得るべきものとしては、ひとつにはこの外部講師の企画のfacilitateが大変見事であった。さすが、お金を出して呼んできただけのことはある。あともうひとつは参加者全員が真剣に取り組んでいる点である。誰一人、いい加減に参加していない。職種を問わずみなが発言権を認められていて、平等に意見を述べる雰囲気があり、そして実際みんながみんなの意見に耳を傾け真剣に議論しているのが素晴らしいと思った。もちろんその日はクリニックはオフ(他の病院はどうかしらない)なので呼ばれることもない。これくらい徹底したretreatの機会を持つことは日本のレジデンシーも必要だろう。

Agendaは以下のようである。
まず、Introducitons and Overviewが30分程度もたれた。まずは個人の紹介と今自分がもっとも大切に考えていることを全員が簡単に発表した。次にTregger InfommationとしてDepartment DeanのDr.Wadlandから我々のMissionの再確認のプレゼンテーションがあった。その後ブレインストーミング的なIntro Questionとして「向こう3-5年で今我々が我々の使命の遂行を可能するためにもっとも力を注ぐべき事柄」についてフリーに意見を出し合いそれらをファシリテーターがカードに記して、Clinical practice,Accademic Programs,Reseach/Scholarshipの3つのテーマに分かれたボードの対応するところにそのカードをはり、さらに関連のあるものを集めて島を作る作業が行われた。

休憩をはさんで、その後、仕切りなおしで、7つのコアの質問がなされ、会場の参加者がめいめい発言した。どれも、みんなの意見をできるだけ広い範囲から抽出し、それをするには何が問題なのか、何をクリアすれば次の段階にたどり着けるのかといった革新的な内容に関しての質問で大変刺激的な議論がなされた。そして、7つ目の質問では最初にセッションで聞かれた、「向こう3-5年で今我々が我々の使命の遂行を可能するためにもっとも力を注ぐべき事柄」に戻って今度はテーブルメンバーごとに話し合いを行い、3-4つのカードにそれぞれの意見を書くよう求められた。そして書かれたカードを再び前のボードに集め内容の近いものを集めて島を作っていった。ここからはKJ法の容量で、出来上がった島に名前を着ける作業となった。最終的にできあがった島の名前はpartnershiop,vision for FM,Neads assistant,teamas/roles allignment(definining),P.C.Modelであった。意見のカードで面白かったのは、「新しい大統領を選ぶ」というのがあり最初はジョークかと思われたが、これもちゃんと検討されていずれかの島に分類されていた。

さらに島の中から今後われわれが従事するべきもっとも大切なことはどれかについて意見を求め、その絞ったテーマについてさらに各人の意見を聞いて深めていくという手法がとられた。

以上、概要であるが、結局この手法によって、何をするべきか、そのためには何が必要か、何がその妨げになるのか、それをするためにはどうすればいいのか、といったことをみんなの共通認識にして同じ方向を向くようにみんなの意見を集約することができた。もちろん、大変大きな組織で、それこそ臨床医から研究者から、事務まで顔をそろえているので、各自の分野からの意見がでて全てが同じ意見になることはありえないが、それでも平日の午前中を休みにして話し合うだけの価値ある中身であったと感じた。

この手法は、ブレーンストーミングを最大限に生かし、これを繰り返すことで、今何が必要か、そのためにはどうすればいいか、まで踏み込んでみんなの意見を聞くことができる、という意味でKJ法と比べても大変有効であると思われる。今後また用いる機会があれば使ってみたいと感じた。

Ingham county medical care facility 見学

Wednesday 11/14  
今日は、geriatristのDr.Raza Haqueにくっついてnursing homeであるInghum county medical care facility (http://www.ingham.org/mc/mcf.htm)の見学をした。初めてのshadowingでもあり、久しぶりに実際に患者さんとコミュニケーションをとったので、とても興奮した見学となった。

<場所と概要>
場所は、MSUの南東にある6マイル程度の距離のところである。写真を持っていくのを忘れたのが何よりの失敗であったが、とにかく大変きれいで大きな施設であった。中にはかなり大きなサークルがあり、そこには直物が栽培されていてまるで植物園のような空間であった。その植物の間を縫って患者さんが車椅子を押されてその植物をみている光景はいいものであった。
ウイングはかなりたくさんに分かれており、総患者数は160人程度だそうだ。その中には認知症患者ユニットもあった20名程度はいっておられと思う。部屋はプライベートルームから2-4人程度の相部屋まであったと思う。ここのメリットのひとつにリハビリ施設が併設していて、病院から退院したがまだ在宅復帰まで日がかかりそうな人や、廃用がある人などを受け入れているようだ。DR.Raza Haqueは老年医学専門だが、自身リハビリも施行するそうだ。

<患者構成>
私はあらかじめこの施設に来る前にDr.Haqueから依頼を受け、日本の老人保健施設と特別養護老人施設の入所者のベースラインについての調査資料を厚労省のホームページからコピーして持参した。そして、Dr.Haqueはこのfacilityの半月ごとと各月毎の施設患者の分析したリストを持っていて二人で比較検討した。ただし、この施設のリストはベースラインの評価ではなく、入所中に起こったイベントを分析したものであった。このリストを分析していてわかったことは、この患者のうち、9以上の処方がある人が国の平均に比べて随分高いこと。他にも認知症を発症する患者数が20%いることや、転倒患者が平均データよりも多いことが指摘できた。Dr.Haqueによればこれは研究テーマに値する事実で、かれの推測では、余分また過剰な投薬により患者の意識・精神レベルが傷害されて、転倒や認知症の発症率の上昇に寄与しているのではないかということである。彼は今後の研究テーマとしてこういったことに着目しているようであった。

<患者診察1>
午前はDr.Razaにくっついて、診療見学をした。その日は2人の入院があるはずだったのが、二人とも午後入院となり、午前は比較的余裕があったようであった。たまたま、昨日からproductive coughがでだした患者さんがいて、その人の診察依頼がナースからあり、それを見学した。まず感じたのはやはり基本にきっちりプライバシーを守って診察しているということ。きっちり見学者の僕がいることを説明した上で、診察時はちゃんとカーテンを閉めていた。その患者さんは熱はなかったが右胸部にcrackleを認め、肺炎または気管支炎が疑われ、採血とレントゲンをorderし、抗生剤の内服投与が開始された。それは全て患者さんに説明がなされ、治療期間なども説明されていた。Dr.Razaは、診察所見から肺炎/気管支炎がわかるので検査は必要ないのだが、保険会社に請求する治療費の保証として検査結果が必要なのだ、と言っていた。これがアメリカの現状なのだ。いくら、技術と知識を蓄えてもこの国の現状では医療費を抑制するのは至難の業のようである。

<患者診察2>
午後から入院した患者とりをDr.Razaにくっついて見学した。患者は80歳代の男性。転倒後の慢性硬膜下血腫があって、それの手術後で、左半身の麻痺があるのともともと右膝の関節炎で今はもう自力で動けないとのこと。診察時は、全身の診察はもちろんだが、四肢のROMや筋力をみていた。彼いわく、老年科医は痛み、食事、排便、視力、運動能力などの基本的なことを特にしっかりアセスメントするのだと強調していた。面白かった質問に、脈診で、ヘモグロビンの値を当てることができるか?と聞かれたことである。血圧はなんとなく脈診でわかるが、ヘモグロビン値を聞かれたのは初めてでびっくりした。彼曰く、脈にかかるプレッシャーでわかるらしい。ほんまかいな??? あとは、胸部の静脈の拡張が少ないので、たぶんこの患者はタバコを吸っていないだろう、と推測していた。タバコをすうと、肺動脈圧があがって胸部の静脈が怒張するらしい。これも初めて聞いた身体所見である。とにかく、彼の診察は丁寧に、ちゃんと患者さんに敬意を表した対応をしていた。診察内容は日本の内科医+リハビリ医といったところであろうか?

<precepting>
午後の2時15分から、MSU関連のレジデントのうち、老年科にローテーションしているレジデントが回診にくるというので同行させていただいた。参加者はDr.Razaを入れてMSUの専門医3人とレジデント4人とフェロー一人。まずは、カンファレンスルームで、担当患者の報告をしてから3チームに分かれて回診をした。私のチームは、Dr.RazaとSparrowで3年目のチーフレジデントが一緒だった。彼の患者はちょうど朝に診察した患者さんともう一人の90歳の患者さんであった。2人目の患者さんは全身状態は落ち着いているが、咳がでるとのことであった。どういう時間帯や、どういう姿勢のときに咳がでるのか、を質問し、誤嚥なのか、胃食道逆流なのか、post nasal dripなのかという基本的なところをレジデントに質問していた。そして、ベッドサイドでは、食事はちゃんととれているか、夜は寝れているか、などの質問の他に口腔内を入念にチェックして、入れ歯がちゃんと合っているか、入れ歯をはずしたときに食物残渣が口腔内に残っていないか?、などをみていた。指導されたレジデントは普段Razaのような指導を受けないのかとても感謝していたようだった。

<抄読会>
回診が終わった後、指導医とフェローたちで行われた論文の抄読会に参加した。
テーマは、アメリカの老年医学雑誌から、普段出されているnursing homeに入所中の患者の処方内容を医師や薬剤師がチェックしたところ、薬の数を減らすことに成功した、といった内容だったと思う。この抄読会の担当はDr.Razaだったが、明らかに、このfacility入所の患者の薬の数が多いことを意識してとりだした文献であった。
このようなしょう読会は場所をMSUに変えたりはするものの毎週もたれるとの事であった。

2007年11月3日土曜日

Spirituality and Ethics 2007/11/2

今日はthe 11th Annual Foglio Conference on Spirituality and Ethicsに参加した。これは田村先生のブログhttp://familypracticemsujapanesescholars.blogspot.com/2005_09_01_archive.htmlにもふれられていたが、MSUのキャンパス内にあるKellogg Centerにて開催されるThe Center for Ethics and Humanitiesの年間行事である。

今年はミネソタRochesterのMayo Medical SchoolのAssistant DeanであるThomas Viggiano,MDを迎えての開催となった。今年の参加者もミシガン州界隈からの参加者が主で100人程度だったのではと思われる。職種は、Nurseやドクターに限らずMSWや大学の教師などさまざまであった。

まず最初のThomas先生の記念講演は'The Virtuous Professional Walking the Talk'というテーマで、Comptency basedで教育に携わっている彼の立場から見たプロの美徳についての講演であった。言葉の定義やすでに言及されている解説を巧みに引用し、さらに話し方も独特の間を使っての魅力的なプレゼンテーションをしていただいた。話は、まずcompetenceの定義から始まり、Professionの定義、良い医師の美徳(慈善心、同情、勇気、信頼へ忠誠、知性に誠実であること、謙虚さ、正直さ)、Medical Proffesionalism(高潔さ、同情、利他主義、自己改善の継続、素晴らしさ、ヘルスケアチームとの協働)などを定義した上で、それを踏まえて患者との関係で信用を構築するために何が必要か、そしてProffessionalismを学ぶとはどういうことか、そのためのRecommendations(学生の権力の乱用を抑える、標準を明らかにする、公正な評価、ロールモデル、医学教育システムの負うプロらしくない行いに対する責任性、透明性)、そして美徳をはぐくむだけの環境が必要であること、そしてリーダーの役割と責任(リーダーは目的とした結果を得るために価値、資源、過程(活動)を調整すべき)、そしてリーダーの資質(Trust(信用)とは組織を構成する上でもっとも力を持った道具である)、そして最後に「リーダーは美徳のあるコミュニティーを構築するためにケアし、使命に対して忠実に使えること、Phronesisに報いること、信用を強化すること、良いことに対しては自分の責任を刷新して取り入れることが大切」、という内容で講演を締めくくった。

その後、Virtue Based Medical EducationというテーマでCHMの名誉学長のRuth Hoppe,MD,Profから講演があり、午前中の最後にMSUの各分野からのリーダーをパネリストに迎えてのPanel Discussionがあった。パネラーにはDO、MD,PhDのほか、弁護士も参加していた。

昼食はLincoln Roomという広間でのテーブルを囲んでの会食となった。学生も同席しており、それぞれがそれぞれの立場で気さくな話をしていた。

午後からはそれぞれ3ブースを準備してのConcurrent Workshopが立て続けに3セッションあった。
僕は、順に①An Introdution to Gambling Addicition、②Withdrawal of Care in the Evergency Department:Spiritual and Ethical Dimension in Caring for Patients and Families as Death Approaches, ③Hope and Aeshetic Healingに参加した。

An Introdution to Gambling Addicition、by James Loree, LMSW
米国では年間の映画や録音された音楽、テーマパーク、スポーツ鑑賞、ビデオゲーム度を含めた娯楽に使われるよりも多くのお金がギャンブルに投入されており、社会問題になっている。その額$80 Billion。一方で、ギャンブルする人のうち自殺念慮がある人の割合が65%、実際に自殺行為をした人が20%いるという。addicitonのリスクファクターや、Addicitonを病態理論的にを明らかにした上で、その評価や治療法についての話であった。最後にはスクリーニング方法としてLie/BetとCAGEの2種類の質問法を紹介していただいた。感度、特異度については触れられなかったが、臨床に参考になるかもしれない。 www.gamblingresearch.org,www.mcgill.ca,www.michigangaming.com,www.ncpgambling.com,www.problemgambaling.ca,www.proctor.org

Withdrawal of Care in the Evergency Department:Spiritual and Ethical Dimension in Caring for Patients and Families as Death Approaches, by Andrew Barnosky,DO,MPH,FACEP:
癌ターミナルの患者が突然家で倒れてERに運び込まれたが、運び込まれたときにはほぼHR20程度であった。体外ペースメーカーで一次はHRは70程度に回復したが長続きせず、再び血圧が下がった。家族は延命処置に関しては消極的である。さあ、あなたならどうするか?といった印象的な症例提示から始まった。
医師を含めたヘルスケアプロバイダーが、ERですでに始まった蘇生活動に関してmoralやethicalな立場で必要ないと感じたとき、どのような行動をとるべきかについて言及していた。ほかにDNAR Orderをとるときの問題、また患者からはAdvenced Directivesを提供してもらうことが有効などの話を医療倫理と照らし合わせて広く提供していただいた。また医師は患者の意向を尊重してchaplainとも協働することが大切などの話が出ていた。まだまだ日本ではなじみの薄いChaplainであるが、外国では大きなテーマのようである。ちなみにアメリカでもまだまだERにChaplainの機能があるところは少ないとのことであった。日本にも割りとなじみのある分野の話であったので話としては分かりやすかったが、ハンドアウトをもらえなかったので詳しくレビューすることができないのが残念である。

Hope and Aeshetic Healing、by Tad Dunne,Ph.D
Dr.Dunneは神学とHumanitiesという宗教学が専門のSiena Heights Universityの教諭である。
彼は、Hope,aesthetics(美学)を定義したうえで、それぞれの持つ治療的効果について述べた。実際に写真、絵画、音楽、詩をみせてそれを見た後、どのような感情的変化が心の中に起こったかを見つめることに治療的価値を見出すユニークなセッションであった。言葉の定義などは抽象的でなかなかわかりにくい部分もあったが、音楽、詩、写真と絵画を見て自分の情動と向き合うとなんとなく言わんとしている内容がわかった気がした。
忙しさに負われている日常で、ゆっくり詩を堪能したり、美しい写真や絵画を見入る暇も必要だし、それによって育まれた感受性はきっと患者との関係にもいい効果を及ぼすと感じた。

2007年10月21日日曜日

Annual Program Retreat (10/11/2007)

今日は朝からSouth MasonのAurelius Baptist Church Family Centerというところで`Annual Program Retreat`のworkshopに参加してきました。

これは、ここMSUとその周りの病院、クリニックを母体にしたレジデンシープログラムを見直すための会で、各プログラムからレジデントと指導医が参加してそのプログラムについて喧々諤々と議論する場でした。
こういうReteratは年に何度か持たれるようで、The Accreditation Council for Graduate Medical Education (ACGME) http://www.acgme.org/acWebsite/home/home.asp が、研修制度の保障のためにプログラムにこういう会を持つことを要請しており、この会もこの規則にのっとったものだそうです。

みなさんも予想されるかもしれませんが、参加はしたものの実際僕がそこにいるのはかなり場違で肩身のせまい思いをしながらの参加となりました。
ただし、こういう会があることを経験できたことは良かったと思います。とにかく、こういうレジデントとFacultyを交えての機会がもたれることは大変健全だと思われるし、質を見張るためにACGMEという機関があるのもアメリカらしいと思いました。

以下、内容について:
中身としては、いくつかの分科会に分かれていてそれぞれ、分科会ごとのテーマで議論することになっており、木曜日というまったくの平日にもかかわらず、総勢50人くらいの参加でした。
最初に概要のプレゼンテージョンがDr.Georgeから1時間程度あり、その後、午前は3つの分科会、午後は4つの分科会に分かれて討論がなされました。僕は午前は'Osteopathic Principles and Practice',午後は'Building a More Effective Patient Care Team'というテーマの分科会に参加しました。

<以下、私の日記より>

午前の'Osteopathic Principles and Practice'では、Sparrow/MSUでのFamily Medicine Residency Retreatというテーマで、Osteopathic Principles and Practice Breakout Sessionと題してworkshopが行われた。あまりにもDOのことを良く分かっていないため、とうていこのディスカッションの内容を理解するには遠く及ばないが、理解した範囲で言うと、DOは最近でこそようやく世間に認知されるようになってきたが、まだまだMDと比べて制限がある部分が多くある。特にBoardの問題がそう。DOの学校を卒業し、Residencyを卒業してもBoardが取れないらしい。また、信頼性acreditationをいかに勝ち取るか、というのがテーマのようだ。

こちらのワークショップはすごい。大体15人程度のグループでのdiscussionとなったが、ほとんどみんながバシバシ意見を言う。もじもじしている人はあまりいない。かなり白熱したdiscussionが行われた。参加者はDOの人が半数以上をしめているようだった。
DOについて-(AOAのホームページhttp://www.osteopathic.org/index.cfm?PageID=aoa_main

wikipedia、そして本日個人的に説明をうけた内容よりDOについて自分なりにまとめてみると:Andrew Taylor Still, M.Dという人によって1892年にKirksville(MO)で、アメリカのOsteopathy(現在Health SciencesのA.T.スティル大学のOsteopathic MedicineのKirksvilleカレッジ)学校を設立されたのが最初。Taylorは自分の子供を3人meningitisで亡くし、当時の医療とは違って本当にいい医療を模索したらしい。Osteopathic Medicineは、できるだけ検査や余分な薬などに頼らずに患者をholisticに見て治療をすることを使命としている。DOマインドというのも、bio-phyco-social model, ethicalにもprofessionalにも患者に責任を負うといつ立場をとっていて、そういう意味でもFMと相通じるものがあるとおもう。

以下、wikipediaのosteopathic medicineの項より引用。‘Osteopathic medicine is a diagnostic and therapeutic system based on the premise that the primary role of the physician is to facilitate the body's inherent ability to heal itself.
DOはこのアメリカにおいてはMDに劣らない資格を有する。すなわち、MDができるのと同じくらいなんでもできる。いや、MDよりも余計にいろいろ勉強をせねばらないぶん、MD以上のことができると思う。別になんでもできる。外科医のODもいるし、整形がきらいなひともいるくらいだ。FPとDOの違いは、FPはより予防医学的な部分があるのが違いかもしれない。

現在アメリカには6万人程度のDOがいて、これは全ての医者の5%程度だという。アメリカにはOsteopathic collegeが26あり、medical schoolの学生の5人に1人がosteopathic schoolに登録しているとのこと。


午後は、研修制度に対してのおそらくレジデント対指導者側とのディスカッションで、これもかなり白熱したものとなった。やはり中身はわかりにくかったが、扱っている内容は日本と同じようなものがあがっていた。たとえば、全てのケースでプリセプをする必要がないんじゃないか、とか、tailor madeの外来研修、よそのプログラムとのcooperationとか、休暇と給料がもっとほしい、とか、インターンの廃止とか、、、、その中でfacilitatorはアウトカムとの整合性があるのか?などが議題にあがっていた。

全体を通して:
午前中は、DOとMDの問題、特にDOの信用性の問題が今も尚残っているとうことを肌で感じた。accreditationを勝ち得るためにDOたちはもっと自分たちの価値やアイデンティティを広めて行く必要がある、といった内容のディスカッションであったと思う。

午後は、レジデントと指導医も交えたプログラムの検討会であった。平日の1日をつぶして、こういうレジデンシープログラムのRetreat(再検討?)がレジデントと指導者との間でもたれ、健全な話し合いがされるのは素晴らしいことだと思った

MSU医学生の教育場面

本日は久々の投稿です。
こちらに来て、いよいよ1ヶ月になろうとしています。今日は今までに体験した、アカデミックな部分を書いてみようと思います。

まず、大学の医学部(College of Human Medicine)の概要ですが、医学生は各学年100人で4年制の大学です。MSUには病院がないため、病院実習をする3年生と4年生はMSUの周囲の関連病院に散っているようです。ちなみにレジデントも大学のクリニックで働いている人はほとんどみかけません。
こちらに来て今までに見学した内容はいくつかの医学生向けの授業の見学、Oral examinationの見学です。

医学生向けの授業:
特に興味のある次のような分野を見学しました。さまざまなシナリオを利用したProblem Based Learningと、Bio ethicの授業、Simulation形式のInteraction Skillの授業。
全て6.7人くらいの小グループ単位での授業でした。

<Problem based learning>シナリオを書いた紙が配布されて、そのケースを使って、主訴、現病歴、身体所見からプロブレムを抽出して、それについてそれぞれ鑑別を考え、アセスメント、プランを立てていくものです。何かその場で解決しない問題が出たり、あらたなテーマの問題に行き着いたら、宿題となってその次の授業で再検討するといった流れになっているようでした。だいたい7人ぐらいの小グループ単位でローテーションしているみたいです。PBLは最近は日本の大学でも取り入れられているのでしょうか?少なくとも僕の受けたときの授業とはまったく違っていました。日本の大学の大学のPBLとは違いがあるのでしょうか?

<Simulation形式のInteraction Skillの授業>模擬患者に問診したものをビデオテープに撮ってそれをプリセプターがいくつかの採点基準に沿って採点し、同時に小グループでもディスカッションをしていました。また、模擬患者さんにも採点用紙が配布されていて、問診の施行者が患者さんからもfeed backを受けるようになっていました。こちらでも、Open Ended Questionから始めて徐々にClosedな質問をする、とか、患者さんがComfortableに見えるか、とか、共感の姿勢を示しているかということがポイントとなっていました。この授業の対象は1年生だったので、まだsexual historyのとりかたや、ethical な問題、substance abuseについてなどは訓練を受けていないとのことでした。こちらで特徴的と思われる問診内容に「medical insuranceを持っているか?」という質問があったのには、国の違いを感じました。ビデオを使った指導は日本でもいくつかのレジデンシーで行っているかと思われますが、こんなに自分の授業を大人数で検討するところはあまりないと思います。日本人の感覚だと、人数が多いとそれだけ恥ずかしいのでは、というふうに思いました。

<Oral Examination>
family practice department主催の医学部2年生を対象にした試験です。おそらくclinical clerkshipの前のオスキーみたいなもんだと思いますが、なんせたいそう大掛かりな設備が準備されていて金のかかったものになっているのに驚きました。








(以下、私の日記より)
今回の試験はFee hallに新しく改装されたLAC(Learning Assessment Center)を使っての初めてのこころみだそうだ。Simulation形式による問診と簡単な身体所見、さらに鑑別診断、アセスメント/プランの構築までをを全てoralのみで問う試験であった。身体所見といっても、実際に診察してするわけではなく、たとえば膝痛の患者さんなら、どのような手技を用いてどこをみるか、みたいのを口頭で検査官相手にいったり、バイタルは?と聞いたり、咽頭所見、概観所見、呼吸音、心音などは聞けば試験管が設定されたシナリオどおりに答えるというもの。また、簡単な検尿などの検査所見、膣液検査なども聞けば検査官が答える、という形式であった。しかし、短時間で、かなりくまなく網羅した問診、身体所見、そしてそれをプロブレムとして整理して、鑑別をあげてさらなる検査プラン、治療方針までまとめあげるというのは学生にはかなり困難と思われ、案の定全てを完璧にこなす学生はいなかったように思われた。
 本日の試験は、まずとても大掛かりなものでかなりよく練られたものだといえるだろう。それよりもまずは真新しい教室の中のセッティングの機器のすごさに圧倒された。試験で使われた部屋は4つであるが、おそらくかなりの数の部屋があると思われる。そして、各部屋には診察台とテーブルと、コンピュータが配置されており、それをビデオカメラで撮影できるようになっており、それがコンピュータルームに届いてそれを見ることができる、というもの。僕は試験の間ずっとそのコンピュータルームで各部屋の様子をみていた。部屋の中には、NICUや病棟でのCPAかなんかを想定して治療ができるようにベッドに蘇生用の人形(ベビーと大人)がおかれたりもしていた。
試験自体は朝8時からオリエンテーションが始まり、8時半から試験開始。各学生は2ケースずつ試験を受ける。それが午前中から2時ころまで間のbreakをはさんで永遠に繰り返される。総勢100人?200人?いるらしいので全てやり終えるのにそれだけの時間を要するのだろう。途中で帰ったので何時まで続いたのかの詳細はわからない。
詳細にシナリオについて触れると、まずあたえられた時間は20分。シナリオは、おおきく2種類に分けられて、学生はそれらを1つづつ受ける設定。1つは特に症状のない患者を対象にヘルスメンテナンスをする能力を問い、別の方は実際に症状を有する患者さんに対して詳細な問診・身体所見をとり、それに対してアセスメント、プランを立てるという形式。
ヘルスメンテナンスの方は、2つの部屋で行われ、それぞれにおそらくCHMのスタッフの人が模擬患者となってそれぞれにつく。それを部屋の外からビデオを見ながら別のスタッフの先生が採点し、試験終了後に患者役の試験管とすり合わせてダブルチェックするようになっていた。
ヘルスメンテナンスのシナリオはひとつは50台の女性で、定期健診に訪れたもの。しかし4ヶ月ほどの前に夫以外の職場の男性と関係を持ってしまったとのこと。一通りの検査を終えて結果を聞くという設定。もうひとつは、もともと高血圧のある50台の男性が、長いこと診察を受けていないので妻にあとを押されて受診したというもの。ポイントはどちらのシナリオも先ほども述べたように、ヘルスメンテナンスの必要な情報を提供する。具体的にはがん検診をすすめたりするのがメインと思われる。
別の疾患グループのシナリオの4つありそれを2つずつ2つの部屋で行われた(学生はそのうちの1つを受ける。)内容は以下のとおり。

1:膝痛できた14歳の女性。チェックポイントにあがっている問診内容と身体所見の項目を聞くとポイントが加えられていく。膝の所見のとり方はかなりいろいろな検査手技がチェックポイントにあがっていたのでけっこうしっかり勉強していないと全てはこたえられないと思った。おまけの写真で、体感の白癬のようなものが提示され、皮膚所見の性格の供述と鑑別があげられるかがポイントとなっていた。
2:20歳の女性。主訴は忘れた。
 おまけの写真では手の水包か膿包が移っており、皮膚所見の正確な供述と鑑別をあげられるかが問われていた。
3:血尿を主訴に訪れた50台の男性。鑑別に癌やUTI,結石などがあがるかが問題となる。尿検査所見のコピーで赤血球円柱があり、おそらくNSAIDSによる腎炎が答え。
4:無月経を主訴に訪れた52歳の女性。本人はmenopausalじゃないかと思っている。
 問診で、sexual historyをとると4ヶ月ほど前に夫以外の職場の男性と関係を持ったとのこと。menoposalの症状の有無をしっかり聞けるか、ホルモンなどの検査などの項目がいえるかなどもチェックポイントに挙がっていた。おまけで、膣のwet mountのコピーで、真菌が答えられるかと適切な治療も聞かれていた。

 Family medicineの中でも問診でコアとなる部分でもあるsocial history, sexual history, substance abuse, health maintenanceなどの問診のとり方について、しっかり臨床に出る前にトレーニングを受けている点はやはり学生といえども日本のレジデントレベルだろう。
ここまで、お金をかけた完璧な設備投資は民間のレジデンシーレベルでは無理だと思うが、中身的には参考にできる部分は多いと思われた。
以上、資料は門外不出になっていたので覚書程度にメモしたもの。