2007年11月3日土曜日

Spirituality and Ethics 2007/11/2

今日はthe 11th Annual Foglio Conference on Spirituality and Ethicsに参加した。これは田村先生のブログhttp://familypracticemsujapanesescholars.blogspot.com/2005_09_01_archive.htmlにもふれられていたが、MSUのキャンパス内にあるKellogg Centerにて開催されるThe Center for Ethics and Humanitiesの年間行事である。

今年はミネソタRochesterのMayo Medical SchoolのAssistant DeanであるThomas Viggiano,MDを迎えての開催となった。今年の参加者もミシガン州界隈からの参加者が主で100人程度だったのではと思われる。職種は、Nurseやドクターに限らずMSWや大学の教師などさまざまであった。

まず最初のThomas先生の記念講演は'The Virtuous Professional Walking the Talk'というテーマで、Comptency basedで教育に携わっている彼の立場から見たプロの美徳についての講演であった。言葉の定義やすでに言及されている解説を巧みに引用し、さらに話し方も独特の間を使っての魅力的なプレゼンテーションをしていただいた。話は、まずcompetenceの定義から始まり、Professionの定義、良い医師の美徳(慈善心、同情、勇気、信頼へ忠誠、知性に誠実であること、謙虚さ、正直さ)、Medical Proffesionalism(高潔さ、同情、利他主義、自己改善の継続、素晴らしさ、ヘルスケアチームとの協働)などを定義した上で、それを踏まえて患者との関係で信用を構築するために何が必要か、そしてProffessionalismを学ぶとはどういうことか、そのためのRecommendations(学生の権力の乱用を抑える、標準を明らかにする、公正な評価、ロールモデル、医学教育システムの負うプロらしくない行いに対する責任性、透明性)、そして美徳をはぐくむだけの環境が必要であること、そしてリーダーの役割と責任(リーダーは目的とした結果を得るために価値、資源、過程(活動)を調整すべき)、そしてリーダーの資質(Trust(信用)とは組織を構成する上でもっとも力を持った道具である)、そして最後に「リーダーは美徳のあるコミュニティーを構築するためにケアし、使命に対して忠実に使えること、Phronesisに報いること、信用を強化すること、良いことに対しては自分の責任を刷新して取り入れることが大切」、という内容で講演を締めくくった。

その後、Virtue Based Medical EducationというテーマでCHMの名誉学長のRuth Hoppe,MD,Profから講演があり、午前中の最後にMSUの各分野からのリーダーをパネリストに迎えてのPanel Discussionがあった。パネラーにはDO、MD,PhDのほか、弁護士も参加していた。

昼食はLincoln Roomという広間でのテーブルを囲んでの会食となった。学生も同席しており、それぞれがそれぞれの立場で気さくな話をしていた。

午後からはそれぞれ3ブースを準備してのConcurrent Workshopが立て続けに3セッションあった。
僕は、順に①An Introdution to Gambling Addicition、②Withdrawal of Care in the Evergency Department:Spiritual and Ethical Dimension in Caring for Patients and Families as Death Approaches, ③Hope and Aeshetic Healingに参加した。

An Introdution to Gambling Addicition、by James Loree, LMSW
米国では年間の映画や録音された音楽、テーマパーク、スポーツ鑑賞、ビデオゲーム度を含めた娯楽に使われるよりも多くのお金がギャンブルに投入されており、社会問題になっている。その額$80 Billion。一方で、ギャンブルする人のうち自殺念慮がある人の割合が65%、実際に自殺行為をした人が20%いるという。addicitonのリスクファクターや、Addicitonを病態理論的にを明らかにした上で、その評価や治療法についての話であった。最後にはスクリーニング方法としてLie/BetとCAGEの2種類の質問法を紹介していただいた。感度、特異度については触れられなかったが、臨床に参考になるかもしれない。 www.gamblingresearch.org,www.mcgill.ca,www.michigangaming.com,www.ncpgambling.com,www.problemgambaling.ca,www.proctor.org

Withdrawal of Care in the Evergency Department:Spiritual and Ethical Dimension in Caring for Patients and Families as Death Approaches, by Andrew Barnosky,DO,MPH,FACEP:
癌ターミナルの患者が突然家で倒れてERに運び込まれたが、運び込まれたときにはほぼHR20程度であった。体外ペースメーカーで一次はHRは70程度に回復したが長続きせず、再び血圧が下がった。家族は延命処置に関しては消極的である。さあ、あなたならどうするか?といった印象的な症例提示から始まった。
医師を含めたヘルスケアプロバイダーが、ERですでに始まった蘇生活動に関してmoralやethicalな立場で必要ないと感じたとき、どのような行動をとるべきかについて言及していた。ほかにDNAR Orderをとるときの問題、また患者からはAdvenced Directivesを提供してもらうことが有効などの話を医療倫理と照らし合わせて広く提供していただいた。また医師は患者の意向を尊重してchaplainとも協働することが大切などの話が出ていた。まだまだ日本ではなじみの薄いChaplainであるが、外国では大きなテーマのようである。ちなみにアメリカでもまだまだERにChaplainの機能があるところは少ないとのことであった。日本にも割りとなじみのある分野の話であったので話としては分かりやすかったが、ハンドアウトをもらえなかったので詳しくレビューすることができないのが残念である。

Hope and Aeshetic Healing、by Tad Dunne,Ph.D
Dr.Dunneは神学とHumanitiesという宗教学が専門のSiena Heights Universityの教諭である。
彼は、Hope,aesthetics(美学)を定義したうえで、それぞれの持つ治療的効果について述べた。実際に写真、絵画、音楽、詩をみせてそれを見た後、どのような感情的変化が心の中に起こったかを見つめることに治療的価値を見出すユニークなセッションであった。言葉の定義などは抽象的でなかなかわかりにくい部分もあったが、音楽、詩、写真と絵画を見て自分の情動と向き合うとなんとなく言わんとしている内容がわかった気がした。
忙しさに負われている日常で、ゆっくり詩を堪能したり、美しい写真や絵画を見入る暇も必要だし、それによって育まれた感受性はきっと患者との関係にもいい効果を及ぼすと感じた。

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