2007年11月24日土曜日

Travese City

11/19/2008~11/21/2008
<Traverse City>
http://www.visittraversecity.com/
11/19からTraverse Cityにあるレジデンシー見学をするために、Traverse CityのMunson family Practice Centerを訪れた。Travese CityはEast Lansingから北西184マイルのところにある、ミシガン湖に面した小さい街である。見学の予定が11時半からであったため、朝7時過ぎにEast Lansingを出発し、ホテルSeashore Resortに到着したのが10時半であった。
訪れた季節柄、人はそれほど多くなかったが、夏場は、観光地としてかなりの人でにぎわうようで、ダウンタウン自体の規模は小さいものの、おしゃれな店や雰囲気のいいレストランが並んでいた。
夕食は2日とも、少しおしゃれなレストランで外食した。初日は、イタリアン、2日目はアメリカ料理であったが、どちらも料理の割りに値段が大変リーズナブルでおいしかったため満足できるものであった。
Travese City北西部には、Sleeping Bear Duneという国定湖岸にもなっている砂丘があり、色の美しいミシガン湖とマッチして美しい景観を呈していた。ワイナリーを始め、果物畑が豊富で、そういう農作物地帯としても有名なようである。自然が豊富で、夏場や秋の紅葉の季節はたいそうきれいなところだと思う。









<The Family Medicine Residency at Munson Medical Center>
http://www.munsonhealthcare.org/locations/mmc/mmc.php
家庭医療科レジデントが各学年5人で、Facultyが6人いるとのこと。DOも受け入れている。電子カルテは近々導入予定とのことだが、今のところ紙カルテを使用していた。
7つの病院、多数のクリニック、4つのホームヘルスケアセンターなどからなる北部ミシガンにあるネットワークのなかの1施設がMunson Medical Centerであり、病院とクリニック、ナーシングホーム、ホスピスを持つ複合医療施設となっていた。ヘリポートも完備している。ここの病院はNICUがなく、ほかにもより高度の医療提供が必要なときは、Grand Lapidsまで運ぶそうである。
美しい景観のなかでゆったりすごせる雰囲気のあるナーシングホームや、ホスピスは、まさに治療にふさわしい立地であると思われた。
ちなみに、Munson Medical Centerは、米国トップ100病院の1つに入っているそうで、いただいたレジデンシーのハンドアウトにもネットのサイトにも誇らしげに宣伝されていた。

<Munson Family Practice Center>




到着後、Dr.Websterが施設紹介をしてくれて、そのあといきなり昼食付きの会議に参加した。会議には3年目のチーフレジデント2人と指導医が全員、秘書さんや、ナースも参加していた。ここでは、初日と2日目の午後にプリセプティングの風景を見学した。
 見学した日は、4人の研修医が外来をするというので、2人の指導医がついていた。2人の研修医に対し、1人のプリセプをつけるという、この教育に対する理解の深さがアメリカの教育が進んでいるという所以なのであろうし、それでも人材的にも経済的に成り立つという構造はどのように日本とは違っているのかは興味のあるところである。しかし、実際は指導医の一人はほぼ部屋にいなかったので、実質メインが決まっていてその人が中心にプリセプしているようだった。プリセプは、常勤以外にも、周囲で開業している医師が自分のトレーニングがてらに週に半日だけとかの頻度でプリセプに来ているとの事であり、見学した2日とも、メインのプリセプは外の開業医であった。プリセプのやり方も個人個人で変わるようで、できるだけレジデントと一緒に診察室で患者さんを見る人と、プリセプ部屋でのコンサルトで終わる人がいたのが面白かった。特に決まったやり方はないようである。
コンサルトは義務ではないようで、ちょっとアドバイスが欲しかったり、一緒に見て欲しいときに限りコンサルトしているようであった。しかし、これは、学年にもよるのかもしれない。
レジデントの診察は、一般的なレジデンシーでは、1年目はハーフでいバックを週1日、2年目はハーフデイバックを週3日、3年目はそれ以上、といったシステムをとっているところが多いらしいが、ここは、変則的で、1年目は1時間診察を週5回、2年目は2時間診察を週5回、3年目は3時間診察を、、というシステムをとっているとのことであった。

興味深かったことのひとつとして、プリセプルームに、大量の薬のサンプルロッカーがあり、何に使うのかを問うと、薬代が払えない人のためにサンプルを渡したり、あるいは薬が変わるときに一度試してみるといった目的でサンプルを用いるそうだが、実質的には前者の需要が高いと思われる。
あと、ここの患者は外傷などの急患もいたので、どういう診療システムになっているのかを聞くと、各医師は診療時間内に予約患者と急患用の枠を持っていて、急患はその枠に入るのだそうだ。大学のクリニックのイメージだと、予約するのに2週間待ちとかで急性期疾患を持った患者にとっては非常に非現実的な印象があったので、ここのようなシステムがあるのは意外だったし、ここの医師もここはいいシステムだと自画自賛していた。

<Munson Medical Center>
2日目の朝7時のモーニングレポートから参加した。昨日の患者の申し送りと今日のラウンド予定患者の状況報告のことである。病棟では、2人のレジデントの回診に見学者の僕と五十嵐先生がそれぞれくっついての見学となった。その日は、家庭医療科の入院が10人足らずで、それぞれ3-4人ずつ受け持っていたようだった。普段も6人から14人程度が家庭医療科の入院患者だそうで、全入院患者の5%程度と思われるが、専門家と一緒に受け持つことも多く、明確に何人が家庭医療科の患者とは言いにくいようである。
カルテはクリニックと同様紙カルテであるが、orderingや、諸々のdata、画像などは、北部ミシガンで共通の電子システムソフトを用いているとの事であった。ソフトは薬の投与が確実に行われたかどうかがほぼリアルタイムで見ることができたり、患者さんのアレルギー歴なども一目で見られるよう、よく開発されていて、大変便利なソフトであった。さらに、ネットからアクセスできるそうで、家にいながらにしてデータをみたりもできるらしい。

ここの入院患者さんをみて、思ったのは、やはり、アメリカの入院患者は基本的にObesityをベースに生活習慣病を持った人が多いので、感染症にしても、その他の疾患で入院したにせよ、管理が相当難しいだろうということ。実際、採決や点滴ルートの確保も日本の患者に比べるとさらに大変である。それどころか、あまり太っていると血圧をとるのも難しいこともあるようである。疾患の複雑性から当然専門家によるアドバイスを適切にもらいながらの診療になり、それをうまく統合するのが家庭医の役目のように思われた。あと、産科に関しては、保険が家庭医による診察しかカバーしていないケースもあるようで、ニーズは高いと思われた。
僕がついたレジデントの回診は、日本での風景とそう変わったものではなかったが、患者の訴えを良く聴いて、丁寧に説明していた。憩室炎で入院し、その日に退院予定の患者が、感謝祭前で何を食べたらいけないかを質問していたが、Uptodateのコピーを渡していた。
指導医の回診も基本的なことを中心にレジデントに適切に指示してとは感じた。態度はやはり大変丁寧で紳士的であった。

昼食は病院で毎週行っている勉強会に参加しながらいただくこととなった。
テーマは頚部腫瘍の鑑別についてであった。ところどころジョークを交えながら若い女性が発表していて、耳鼻科かなにかの医師かと思っていたら、後に家庭医のレジデントであったことが判明した。どうして、この領域の発表を家庭医が他の科の医師もいる前でしたのかはよくわからない。

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